いまNZに溢れている「赤いポピー」は、あなたに大切なことを教えてくれる
4月25日が近づくにつれ、ニュージーランドではこのような赤いポピーをいたるところで目にします。
カバンや服につけている人たち。また、おみやげ屋さんにもポピーをモチーフにしたグッズなどが売られていたり、公共の乗り物のデザインの一部になっていたり。
このポピー、一見なんの変哲もないただの造花に見えますが、実はとっても深い意味が込められているんです。
ポピーに込められた「願い」
オセアニア地域に詳しい人なら、すでに知っているはず。4月25日はAnzac Day(アンザック・デー)です。
この日は、オーストラリア・ニュージーランドの連合軍(ANZAC)として、第1次世界大戦などで戦ったすべての人たちに敬意をはらう日。
前述した国に限らず、イギリスやカナダなどでも、赤いポピーは平和の象徴とされています。
この時期に、ニュージーランド国内を歩いていると、たくさんの手づくりポピーを運んでいる人に出会うでしょう。彼らは、退役兵のために募金をつのっているのです。
寄付をすると、引き換えにポピーをもらえるというわけです。こうしてポピーを手にして身につけている人を、街中やお店などでたくさん見かけます。
クライストチャーチのAMIスタジアムにて
ちなみに、写真にうつっている女性から造花をうけとった私は、このポピーに隠された3つの意味を知ることとなりました。
中央の黒い部分→死
花びらの赤い部分→血
茎の緑色の部分→新しい人生
ポピーが教えてくれた
「思い出すこと」の大切さ
ニュージーランドでくり返しポピーを目にして、多くの人が退役兵に敬意をはらう姿を見て、自然と母国の先人たちに思いを馳せている自分がいました。
日本のように豊かな国で生まれ育つとあたり前のように感じるかもしれないけれど、私たちはとても恵まれ環境で暮らしています。
しっかりお金を稼いで健康であれば、食べ物はいくらでも手に入り、仕事帰りや週末に楽しめる娯楽だってたくさん。
そして、国を出れば日本のパスポートが、世界180カ国(2018年4月現在)にビザなしで渡航することを可能にしてくれるのです。これは、旅にでて世界を見るうえで、圧倒的な“自由”をもたらしてくれるということ。また、海外で「日本からきた」と言うだけで、親近感を持ってもらえたり、敬意を払ってもらえることだって多々あります。
日本人というだけで、です。
母国を離れると、昔の人たちがいてこそ今の私たちがあるのだと思える機会がたくさんあります。自分のルーツについて、より深く考えはじめるのです。
普段、仕事や勉強に忙殺されていると、このように思い出すことをサボりがちになってしまう事がありませんか?
でも、時には立ち止まって、深呼吸をして、思いをめぐらせることは、足早に通りすぎていくだけの時間に意味をもたせることができる大切な行為だと思うのです。
いまニュージーランド中に溢れているポピーからは、そんなことを教わった気がします。